どもども。歌舞伎町でホストクラブを運営するNGG(NEW GENERATION GROUP=ニュージェネレーショングループ)オーナーの桑田龍征です。
今回は、僕が先日にリツイートした下記のツイートについて、考えたことを書いてみます。
共感の範囲を広げすぎると、人はより不幸になる
安倍元首相の銃撃事件のあった日、僕は以下のツイートをリツイートしました。
筋トレで有名なTestosterone(テストステロン)さんのツイートです。
この話はメチャクチャ大事だなと思って、インスタのストーリーにも載せました。
大事な話をします。人間は普段、自己防衛のため他者に共感する半径を無意識に小さく保っています。半径を広げすぎるとどうなるかというと、アフリカで飢えている子供に同情して食事がのどを通らなくなったり、自分だけ幸せに過ごすのは間違ってるのではという気分になり、日常生活が送れなくなります。
— Testosterone (@badassceo) July 8, 2022
僕はこのツイートと同じようなことを、東日本大震災の頃から感じていましたし、現在のコロナ禍でも感じています。
特に大きかったのは、東日本大震災の経験ですね。
日本であれほど「自粛」の空気が広まったのは初めてのことだったと思いますが、僕は「自粛って一体何だろう」と深く考えました。
というのも、自粛という行為は、世の中のほぼ全ての人を不幸にすると思ったからです。
もちろん、他の人の身に起きた不幸に共感するのは、人間らしく素晴らしいことです。
でも、全世界の不幸な人たちに共感をして、一緒に悲しんでいたら、人は何の行動もできなくなります。
たとえばガンジス川に死体が流れてくるたびに、インド人の全員が悲しみに暮れて、普段どおりのしごとや日常生活を止めてしまったら、一体どうなるでしょうか?
もうインドのあらゆる機能がストップして、国そのものが終わっちゃいますよね。
なぜホストクラブは「最後に自粛解禁」なのか
世の中を震撼させるような出来事が起こると、「自分は普段どおりの行動を続けていいのか」と思う人は多いです。
でも、ほぼ全ての人には毎日続けている仕事があるでしょうし、その仕事で維持している生活があるでしょう。
農家の方なら「食っていくために畑を耕そう」と、やはり仕事に向かうでしょう。
サラリーマンの人も、やっぱり会社に行きますよね。
そして、ホストクラブも本来は同じはずなんですが、世の中から向けられる目線は少し違います。
世の中が一度「今は自粛だ」というムードになると、エンターテイメントの産業が自粛解禁のムードになるのは、いちばん最後だからです。
インフラを維持する仕事は自粛なんてすべきじゃない。
生活必需品に関わる仕事も、そのまま続けましょう。
飲食店も、世の中に必要なお店はあまり自粛はしないで良し。
……みたいな認識なのに、「遊びに関する仕事はしばらく自粛で後回しね」となるんです。
「俺らの仕事の何がそんなに悪いの?」と思っちゃいますよね。
おそらく日本の世間には、「エンタメの産業や夜の産業は、社会が平和で平穏な時だけ動くべきものだ」という認識があるんでしょう。
でも僕は思うんです。
エンタメが平和で平穏な社会の象徴なら、早くそれを取り戻したほうがいいじゃないですか。
エンタメ産業が動いていることで、心が救われる人、楽になる人もいるわけですから。
もちろん、「今はそういうお店に行く気分じゃない」という人もいるでしょうし、心の回復にかかる時間は人それぞれです。
遊びたい人だけ遊んで、遊びたくない人は遊ばなければいいでしょう。
世の中でどんな出来事が起きても、心に受けるダメージと、回復にかかる時間は人によって違いますから。
だから僕は、個々人が行動の自粛をすることは全く問題ないと思っています。
「それを他人に強制しないでよ」という話ですね。
悲しみに暮れ続けるのではなく、身の回りの人を幸せにしよう
そして震災のときもコロナのときも考えたのが、やはり「孤独」の問題です。
「自粛ムードが蔓延するこの都会で、たった1人で家にこもっている人の孤独さ、みんな分かってますか?」と僕は常々思っています。
同居人や家族がいる人はまた別でしょうけど、都会には1人で住んでいる若者が多いです。
そういう人たちから、街でお酒を飲む場所や、遊びや社交を楽しむ場所を奪ったら、一体どうなるか。
不幸なニュースが垂れ流されるのを見続けて、より辛い状態になってしまう人も増えるでしょう。
そうやって「自粛」が世の中に与える悪影響って、僕は計り知れないものだと思います。
だから世の中を揺るがすような不幸な出来事が起きたときは、「これは自分の生活とは別次元の話だ」と切り分けて考えることも大切です。
そうしないと、普段どおりの生活もできなくなるし、仕事もできなくなってしまいます。
テストステロンさんのツイートは、いま僕が書いたようなことを完結に言い表していたので、「これは本当にそうだな」と思ってリツイートしました。
もちろん僕も、安倍元首相のご冥福は、心の底からお祈りしたいと思っています。
コロナや天災で不幸な目に遭った人は、本当に気の毒だとも感じます。
でも僕たちは僕たちで、身の回りの誰かのために手足を動かして、誰かを幸せにしよう。
それが今の自分にできることなんじゃないの?と僕は思っています。