みなさんこんばんわ。
歌舞伎町でホストクラブを展開するNEW GENERATION GROUP(ニュージェネレーショングループ)オーナーの桑田龍征です。
今回はエステやジム、ホストクラブまで、あらゆるサービス業に共通する、「お客様の潜在的なニーズを探り当て、満たし、対価をいただく」というプロの仕事について書いてみます。
本当のプロのセールスは悪い気分にならない
僕はよく美容系のサロンを利用しますが、施術をしてくれる方々の提案には、「さすがプロだな」と感心することが多いです。
なぜ感心してしまうかというと、僕がいま、自分の見た目で気になっている部分を探り当てて、そのうえで新しい施術の提案をしてくれるからです。
具体的には、
「桑田さんの場合、このケアをしたら、気になっている毛穴が小さくなりますよ」
「おでこのシワが気になるようでしたら、さらにお肌にハリの出るハーブピーリングという方法がありますよ」
といった提案の仕方ですね。
新しい施術にはもちろん対価(お金)が必要なので、これは一種のセールスです。
でも、僕のニーズをしっかり察知したうえで、それに合った提案をしてくれているので、まったく悪い気がしないわけです。
改善の成果も認め・褒めることで固定客を掴む
同じような提案の仕方は、優秀なジムのトレーナーも行っています。
プロのジムトレーナーは、姿勢が悪いことが悩みの利用者に対して、「じゃあ背中の筋肉を鍛えて姿勢を改善しましょう」と提案をしてくれます。
また改善が見られたときに、「このあいだ桑田さんのインスタ見て、歩く姿勢が良くなったなって感じましたよ~」などとその成果を褒めて、トレーニングへのモチベーションを上げてくれるのもプロのテクニックです。
ジムでもエステでも、「自分の悩みや不満がある部分を掘り当てててもらい、そこを改善してもらう」→「その成果を認めてもらうことで本人も嬉しくなり、さらなる改善へと向かう」という繰り返しで、お店側は固定客を掴んでいます。
「なぜ良い気分なのか」を説明するのも仕事
飲食店でも一緒ですね。
たとえばイタリアンで美味しいリゾットを食べたとき、「このリゾットはこういう珍しいチーズを使っているので、こうした味わいになるんです」と美味しさの理由を説明してもらったあとで、「実はこのリゾットに凄く合うワインがあるんです。一口飲んでみませんか?」と説明を受けたらどう感じますか?
「上手い売り込みだな」と感じつつも、メチャクチャ飲みたくなりますよね。
それがプロの提案の仕方ですし、提案を受ける側は全然イヤじゃありません。
まず、良いものを提供する。
お客さんはそれで良い気分になる。
そして、良い気分になった理由を解説したうえで、「さらに追加でこれをすると、もっといい気持ちになりますよ」と提案する。
それがプロの仕事というわけです。
逆にダメなサービス業のスタッフは、「自分はこれをやって良かったですよ」「これが本当に美味しんですよ」と自分の体験の話だけをして、物事の提案をしてきます。
そして、その提案が僕のニーズにまったく合っていなかったりします。
顧客のニーズを無視して、「このワインおいしいんで飲んでください」「このトレーニング器具めっちゃいいんで買ってください」といった提案をしてくるのは、まさに「押し売り」です。
新規の提案を行う際に、「なぜ、あなたに今これが必要なのか」を言葉で説明できることが、サービス業の第一歩だと僕は思います。
お客様には「良い気分」でシャンパンを入れてもらうべき
サービス業の一種であるホストの仕事もやはり同じです。
まずは、お客様にしっかり楽しんでもらうこと。
そして「今メチャクチャ楽しいよね!」と、その気分を共有したうえで、「ヘルプで入ってるアイツ、今日が誕生日なんだよね。このタイミングであのシャンパンを入れたら、きっとこんなことをしてくれるよ」と提案をしたら、お客様は良い気分でシャンパンを入れてくれるはずです。
またエステやジムと同じで、お客様の不満や悩みを見つけて、その気分を変えてあげるのもホストの仕事の一つです。
たとえば落ち込んだ雰囲気のお客様が来店したら、自然な会話で「なんで元気がないのか」「何が理由で落ち込んでいるのか」を探っていき、「どうしたら元気が出してくれるのか」を考えます。
お酒の力で元気になれそうなことなら、「よーし、じゃあ今日はとことん飲んじゃおう!」と提案してもいいでしょう。
僕は落ち込んだお客様に落ち込んだテンションで合わせるのは悪手だと思っているので、「お酒飲んだら、もしかしたら『大したことなかったわー』って思えるかもしれないじゃん!」みたいな軽いノリで提案をするのも全然OKだと思います。
それでお客様の気持ちが少しでも楽になって、「あの人と一緒にいると嫌なことを忘れられる」と思ってもらえたら、それがそのホストのプロとしての価値になります。
お客様が言語化しない欲求を探り当てる仕事
なお、エステやジムに来るお客さんは「身体のここに不満がある」と自分から喋ってくれますが、ホストクラブに来る女性は、そうした話をしてくれるとは限りません。
これは僕の私見ですが、女の子は「自分がなんで落ち込んでいるか」「なんで怒っているか」ということを簡単には言語化しない種族です。
そうした言語化されていない不満や寂しさを探り当てるのもホストの仕事です。
そして一つ言えることは、人それぞれ抱えている不満や悩みは違っても、「人に必要にされたい」「『一緒にいて楽しいね』って言ってもらいたい」「ただ単純に自分の存在を認めて欲しい」という欲求は誰もが持っているということ。
その欲求が満たされない寂しさ・辛さを探り出してあげて、一緒にいることでそれを満たしてあげられるのが、僕はプロのホストだと思います。
潜在的なニーズを満たす「レジ前のお菓子」と同じ仕事
いま例に挙げた女の子の不満や寂しさは、あまり言葉としては出てこない「潜在的なニーズ」と言えるものです。
その潜在的なニーズを満たしてあげるのがホストの仕事です。
言っちゃえば、コンビニのレジ前に追いてある小さなお菓子と一緒ですね。
あそこに置いてあるお菓子って、何も考えずに並んでいても、「あ、欲しい」と思って買っちゃったりするじゃないですか。
あれも陳列の妙により、人の潜在的なニーズを満たしてくれるプロの仕事です。
同じようにホストは「女の子が無意識に何を求めているか」「それに対して自分に何ができるのか」を考えて、その無意識の欲求を行動や会話で埋めていくことが仕事です。
その欲求を埋めてもらったことで、女の子が「私はこの人と一緒にいると元気になるし、仕事も頑張れるんだよね」となれば、ホストの仕事は成功です。
そしてその対価として、ホストは一定額の報酬を受け取っているわけです。
エステやジムと同様に、お客様もお店側もお互いにWin-Winになる関係を築けることが、ホストクラブにおいても大切だと僕は思います。