コロナ禍で筆談!?7月に歌舞伎町でオープンしたバー『デカメロン』とは?
新型コロナウイルスの影響を受けて、業務形態の変更を余儀なくされている人は少なくありません。2020年は店舗経営者にとって、苦難の年になりそうですが、そんなコロナの渦中でオープンしたバーがあります。
新宿歌舞伎町にある筆談ができるバー『デカメロン』とは、どんなお店なのでしょう?
プロデュースを手掛けるのはあの手塚マキ
『デカメロン』は、来店した人が筆談できるというテクノロジー全盛の時代の逆を行くクラシカルなバー。二階には美術品が展示されています。
『デカメロン』のプロデュースを担当するのは手塚マキさん。手塚さんといえば、歌舞伎町に関するニュースで度々登場する人物。『Smappa!Group』の会長としても有名です。
彼のユニークなところは、既成概念の枠内に収まらないところ。歌舞伎町唯一の書店『歌舞伎町ブックセンター』を運営したり、『サラダ記念日』『チョコレート革命』などで日本一有名な歌人である俵万智さんを招いて、ホストに短歌を詠ませたりとかなり型破り。
手塚マキさんは、色々な角度からのアプローチで「歌舞伎町に文化を広げる」という活動を続けています。
今日のNHKのTVニュースと29日の朝日新聞DIGITALに歌舞伎町の筆談カフェ&バー「デカメロン」が取り上げられていた。手塚マキさん、次々に手を打つねェ。旬の人間は勢いがある。 pic.twitter.com/TA5ZSD5VWb
— 藤縄善朗 (@y_fujinawa) August 31, 2020
『デカメロン』のプロデュースもその一環といえるでしょう。
マスクで筆談なら、飛沫感染の危険はなし
当初は、『歌舞伎町ブックセンター』の移転先を探していたという手塚さん。しかし新型コロナウイルスの影響で、移転計画は立ち消えに。並みの経営者なら、ここで万事休すとなるところですが、百戦錬磨の手塚さんは違います。逆境になればなるほど、柔軟な着想が生まれるのが、彼のすごいところ。
デカメロンの営業期間は100日限定。これには理由があります。
もともと『デカメロン』という店名は、ジョヴァンニ・ボッカッチョの作品から持ってきたもの。『デカメロン』の舞台は、イタリアのフィレンツェ。1348年に猛威を振るったペストから逃れるためにフィレンツェの郊外に引きこもった男女10名が、各々10話ずつストーリーを語っていくという内容。10名が10話で合計100話。歌舞伎町にある『デカメロン』の営業期間も100日。100という数字にちなみ、期間限定の営業というところに価値があるのです。
水商売での遊びは己の欠乏を補完するのが目的
自身もホストとして活躍したプレイヤー時代があり、今もホストクラブの経営を続けている手塚さん。一般の人よりも水商売に関わっている濃度は、もちろん濃いめ。
withコロナ時代に水商売を続けることは、賢い選択とはいえないという面もあるでしょう。しかしそれでも手塚マキは前を向きます。
「みんな夜の街にやってくるのは、己の欠乏を補完するため」といった旨のことを、手塚さんは語りました。
「ホストクラブで過ごす時間が、人生のどの瞬間よりも輝いている」という風俗嬢もいます。彼女たちは、世間から何と言われようが、ホストと一緒にいる時間に癒しを得ているのでしょう。それは決して埋まることのない、心の空洞を埋めようとする行為かもしれません。だとしても、他者が「そんなことに意味がない」とジャッジしてしまうのは、あまりに傲慢といえるでしょう。
ホストが困ってるとき
売上を支える僕ら風俗嬢風俗嬢が困ってるとき
支えてくれるのは?はて— 元祖カリスマ狂太郎ちゃん (@ayte721) August 27, 2020
多様な言葉を持ち、人の心に刺さるワードを発信し続ける手塚マキさん。100日が経過し『デカメロン』がクローズした後は、どんな企画を考えているのでしょう。考えただけでワクワクしてきますね。
辛坊治郎が歌舞伎町ホストクラブ経営者に給付金の実情を尋ねた
参考サイト:https://news.1242.com/article/237732
辛坊治郎さんといえば、新型コロナウイルスに関するニュースでも、どこに忖度することなく独自の切り口で歯に衣着せぬ物言いをして話題を集めています。
『コロナ論』を世に送り出し、話題を集めている漫画家の小林よしのりさんも「辛坊治郎は立派だ」「辛坊治郎がテレビでは最も(新型コロナウイルスのことを)分かっている」と絶賛。
誰にも遠慮せず世の中の人が知りたいと思うことをズバズバ尋ねまくる辛坊さんが、手塚マキさんに歌舞伎町の実情を尋ねました。
手塚マキの先輩だった辛坊治郎
『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』の番組内で、手塚さんにインタビューをすることになった辛坊さん。
辛坊さんも手塚さんも、埼玉県立川越高校の卒業生ということで、同郷ということもありフレンドリーな空気でインタビューは始まりました。
夜の街・新宿歌舞伎町のコロナの実態は?! 手塚マキへ電話インタビュー『辛坊治郎ズーム そこまで言うか!』 – ニュース | Rooftop https://t.co/gNDZqfWCyW pic.twitter.com/MDgF4Yv3Pw
— Rooftop🛸 (@rooftop1976) August 4, 2020
手塚さんといえば、ホストクラブだけでなく、書店や美容系店舗の経営に携わったり、介護事業を手掛けたりとかなり幅広い分野に関与している人物。やはり気になるのは「コロナの影響が歌舞伎町にどの程度あったのか?」でしょう。
単刀直入に「売上はどうでしたか?」と確認する辛坊さん。この質問に手塚さんは「他の業種と変わりません」と返答。続けて「4月はダメで、5月、6月、7月は(通常売上の)半分程度」と続けました。
手塚マキの苦悩「夜の街が叩かれるのはある意味でしかたない面も…」
「夜の街が諸悪の根源であると叩かれることに関して、どう感じている?」と聞かれた手塚さんは「ある意味、事実ではある」と答えました。手塚さん曰く、ホストクラブなどの夜の街は、誰でも受け入れる業界とのこと。それゆえ社会の受け皿的な役割を果たしているともいえます。
ただし手塚さんが苦労しているとおり、ホストを志す人間は、とにかくやんちゃ。「コロナ自粛中はなるべく家にいてほしい」と、手塚さんが伝えてもそれを守らないホストもいたといいます。一般社会で働いている人たちよりも、自由を追い求める傾向が強いホストたち。彼らを完璧にコントロールするのは、海千山千の手塚さんといえど、難しいでしょう。
ホスト同士が遊びに行って感染するケースも
ホストクラブの顧客の多くは風俗で働く女性。風俗嬢は、日々不特定多数の人と粘膜接触をしています。つまり最も色々なウイルスとの距離が近い業種といえるでしょう。
コロナ対策をしているとはいえ、風俗嬢と頻繁に接する機会が多いホストたち。コロナに罹患していても、無症状で元気な若者はたくさんいます。罹患しているとは知らずに、同僚や先輩、後輩のホストと遊びに行ったホストが、無自覚のうちに感染を広めている面があると手塚さんは述べます。
深夜にホスト同士がどこかのお店へ行こうとなった場合、空いているお店はカラオケやカラオケスナックなどに限られます。客同士の物理的な距離が近く、風通しがよくないお店で仲間と食事をとることもあるでしょう。
知らず知らずのうちにホスト間で、コロナを移して広めていたという現状が歌舞伎町にはあるようです。
模索中だが、できることはきっとある!
辛坊さんから、今後に関してを尋ねられた手塚さん。「お店としては各々の考え方で模索中。店舗うんぬんではなく、ひとりひとりのリテラシーを上げていくしかない」と続けました。リテラシーを上げることで行動が変わり、必ず感染リスクを下げることができます。
コロナ対策で「これだけをやっておけば正解」というものが見つかっていないのが実情。だからといって、何でもOKという緩さでは、コロナが広まるばかり。
各々が当事者であるという自覚を持って、正確な情報を集めることが大切であると、手塚さんは伝えたかったのかもしれないですね。
新宿駅構内の『ビア&カフェBERG』はホストがよく立ち寄るお店
新宿駅にある『ビア&カフェ BERG(ベルク)』が、2020年で30周年を迎えました。実はこのお店、ホストが朝方よく立ち寄る場所として有名。
新宿「BERG(ベルク)」朝飲み・昼飲みできる駅直結のビア&カフェ | せんべろnet https://t.co/tp5cUsqLyW
— ゆうと (@yutocd) June 18, 2020
これまでに多くのホストが足を運んできた『ビア&カフェ BERG(ベルク)』がこの度めでたく30周年を迎えたニュースについてお伝えしましょう。
店長の父は何と詩人!?
店長である井野朋也さんのお父さんは、何と詩人だったのだとか。1990の7月25日にオープンした『ビア&カフェ BERG(ベルク)』は、2010年まで井野さんのお父さんが経営を務めていました。その後、息子である井野さんが引き継ぎ、2020年の7月25日に親子二代で30周年を達成しました。
詩人の父は芸術文化に造詣が深く、『ベルク通信』というフリーペーパーを定期的に作ってはお店に置くなど、積極的に文化活動を続けてきたのです。
【模索舎新入荷】『ヴァイナル文學選書DX 新宿・BERG篇 ベルクの風景』(東京キララ社)
新宿駅東口改札近く地下1階にある「ビア&カフェ BERG(ベルク)」
コロナ禍のベルクの風景を石丸元章さんの詩とベルク副店長で写真家の迫川尚子さんの写真で綴った一冊です。
ベルク30周年おめでとうございます。(E) pic.twitter.com/ACxjdh3WN2— 模索舎 (@mosakusha) July 31, 2020
ホストが愛したベーコンドッグ
ホストといえば夜のお仕事。遅い時間に業務を終えて、気が付くと日の出になっているということが日常茶飯事のホストたち。『ビア&カフェBERG』に、朝帰りのホストがやってくることも珍しくない光景。
ホストたちが好むメニューは、ベーコンドッグ。
ベーコンドッグ ハーフアンドハーフ (@ BEER & CAFE @BERG_shinjuku in 新宿区, 東京都) https://t.co/raqqAHGKBn pic.twitter.com/WBkpptzprr
— ガマびん’20 (@gamabin) July 11, 2016
脂のしたたるベーコンを口内に入れた瞬間「この店にきたら、絶対ベーコンドッグを頼もう!」と決意し、リピーターになるホストも少なくないでしょう。
新型コロナウイルスの影響で、歌舞伎町に店を構える人たちは大打撃を受けています。しかしたくさんの常連を抱える『ビア&カフェBERG』は、withコロナの大変な時代も生き抜いていく可能性が高いでしょう。