どもども。歌舞伎町のホストクラブのだいたい7番手グループ、NEW GENERATION GROUP(ニュージェネレーショングループ)オーナーの桑田龍征です。今回はホスト業界、そしてウチのグループのコロナ禍での状況について、あらためて書いてみます。
我がNGGの年商はむしろアップ!
なかなか感染拡大の収まらない新型コロナウイルス。特に歌舞伎町のホストクラブについては、「何だか理不尽な批判も受け続けていたし、売上って今ヤバいんじゃない?」と思ってる方もいるでしょう。
でも歌舞伎町で複数のホストクラブを運営するニュージェネレーショングループは、2020年の年商は昨年よりむしろアップ。2019年が10.5億円のところ、2020年は12.4億でした。2020年4月は売上がゼロでしたが、それでも全体としては年商アップを達成したわけです!
売上が上がった要因は複数ありますが、まずひとつ言えるのは「歌舞伎町の住民は逆境に強い」ということ。もちろん我々も必要な感染対策はきちんと行いますが、「自粛しろ!」「営業するな!」と言われても「ハイハイ分かりました」と従う人はいない。そんな生き方をしてきたら、歌舞伎町にはたどり着かないし、この街は“ひねくれ者の集まり”なんですよ(笑)。
だから世間やお上から何を言われようと、「自粛自粛って言うけど、その部分の自粛は意味あるの?」と疑ってかかる部分もある。外から人が来なくなれば、「俺らは俺らで楽しんで経済回そうぜ!」と楽しんじゃう。そういうエネルギーはお客様からも感じたし、ホストたちもそれに乗っかって楽しんで働いてましたね。
コロナ禍に内装費1億円の新店舗を開業!そして成功!
そして2020年のニュージェネレーショングループは、もともとは2020年の4月に新店の「Majesty(マジェスティ)」をオープン予定でした。それが緊急事態宣言の影響で6月にずれ込んだ。内装費は1億以上かけたし、家賃も今までの店の倍はかかるのに、これはヤバいぞと(笑)。
でも蓋を開けてみれば、6月以降は「Majesty」がうちのグループの稼ぎ頭の一つになった。グループ全体で売上も伸びていったし、客単価も上がっていきました。
なぜコロナ禍でもホストクラブにお客さんが来たのか。僕がこの時期にあらためて感じたのは、「みんなが日常に退屈している」ということでした。ホストクラブは、お客様を日常とはかけ離れた「非日常」へとお連れするサービスです。だからこそコロナ禍でも、ホストクラブはお客様にとっての「唯一の光」として求められた。僕はそのように感じています。
感染対策をしっかりすればホストクラブも営業できる!
そして「コロナFuck!」という気持ちはあっても、コロナ対策はメチャクチャ徹底しました。東京都からも色々なことを言われましたけど、従う部分はキッチリ従ってるんです。
我々ホストのあいだでも「手洗い」「消毒」「体温測定」といった感染対策は毎日のルーティーンになりましたし、感染拡大の状況を踏まえつつ、「しっかり予防すればホストクラブも楽しめるでしょ?」という姿勢ですね。
「俺はマスク着けない!」と主張して飛行機でトラブルになった人がいましたけど、僕らは「マスクはしたほうがいいよね」と当たり前に思うし、きちんと対策をしたうえで商売をしようと思っています。
8時以降の同伴・アフターが難しいのが悩み
コロナ禍で変わったことといえば、時短営業が続く中でお客様との同伴やアフターが難しくなったこと。2021年1月からの緊急事態宣言下では『カフェラ・ボエム』や『モンスーンカフェ』などを展開するグローバルダイニングさんのように、通常通りの時間で営業をしているお店もありますが、やはりそうしたお店は少数派。歌舞伎町でも開いているお店は数軒だけの状況が続いていました。
でも僕は、そういうお店の意気込みを応援したい気持ちも持っています。8時以降も開いているお店には行列ができたりしているんですが、それは「お店が必要とされているから」ともいえる。ホストやキャバクラで働いている人にとっては有り難い存在だし、「夜8時以降に仕事が終わる人はどこに行けばいいの?」とも思います。
時短営業の続く中では、8時を過ぎると外食ができない。テイクアウトやデリバリーをやっている店はありますし、コンビニで弁当を買えば食事はできますけど、やっぱり味気ないですよね。働いてお金を稼いで、コンビニで食事を買えば生きていくことはできますけど、「生きてるってそういうことなの?」「そんな生活、つまらなくない?」と僕は思っちゃうわけです。
コロナ禍ではエンジニアやSEのホスト志望者が増加
このコロナ禍では、「ホストになりたい」と応募してくる人のお経歴も多様になりました。エンジニアやSEの人もいますし、ダブルワークを推奨しているリクルートの社員さんもいます(笑)。昼間はオフィスで働いて、夜はホストでも稼ぐ生き方をする人は、これから増えるんじゃないでしょうか。
コロナ禍では仕事を失った人もいるでしょうし、これから転職活動をはじめる人もいるでしょう。我々ホストクラブとしては、多様な人材を獲得できるようになったので、むしろ今の状況をチャンスだと捉えています。
実際、このコロナ禍ではニュージェネレーショングループは渋谷のセンター街に大きな広告を出しました。キャッチコピーは「22歳、時給17万8,000円」「クラブでモテたきゃホストやれ」です(笑)。広告を出せる会社も今の時代は減っているので、僕らもこうした広告を出すことができました。
その広告に登場した時給17万8,000円のホストはHikaru。彼は年収換算だと2020年の1年間で1億1000万円を売り上げています。未経験から仕事に就いて、22歳でこれだけ稼げる仕事はまあ他にないですよね。
いまホストを目指す人の志望動機で多いのは、やっぱりまずは「お金」。コロナ禍では「安定した企業でも『終身雇用』なんて絶対じゃないな」と多くの人が気づいたと思うので、ホストでしっかり稼ぎたい人は増えています。
あと「有名になりたい」という人も多いです。「知名度」は資産価値が落ちにくいものですし、ホストとして知名度を上げることは大きな資産を築く足がかりにもなる。自分がホストクラブの代表になる道もあれば、違うビジネスで稼ぐ道もありますから。
コロナ禍での「分断」を防ぐために職場では「雑談」を!
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また、このコロナ禍では「分断」というキーワードをよく聞くようになりました。政治や社会の分野でよく使われる言葉ですが、僕たちの日常にも「分断」は生まれていると思います。
たとえばコロナ禍ではテレワークの導入が進みましたが、その動きにはいい面があった一方で、「社内で人と人とが関わる時間が減った」「会話をしても要点要点しか話さなくなった」という悩みを抱えている人も多いと思います。
一緒の空間で仕事をする時間が減れば、人間関係でも「分断」が生まれてしまう。だからこそ僕は、会社の人間に「もっと意識的に雑談していこうよ」と呼びかけています。
雑談は「価値観を共有すること」だと僕は思います。だから会社がビジネスをする上でも、身近な人との人間関係をより良くしていくうえでも、雑談することは非常に大事です。「その人は何が好きで何が嫌いなのか」「今ハマっていることは何なのか」という情報は、雑談でしか知り得ないものですよね。
そうした雑談もなく、仕事上の要点だけを伝え合って働いていると、だんだんと人間関係がギスギスしてくる。「自分のことを理解してもらえてないんじゃないか」という不信感も生まれる。話し相手がおらず、孤独を感じる人も増えるでしょう。そうした状況が企業でおこれば、それが社員の離職に繋がります。だからこそ僕は、社内での雑談を推奨しているわけです。
そしてホストクラブは、そのように「分断」により孤独を感じている人達を癒やす仕事でもあります。コロナ禍においても我々ニュージェネレーショングループの売上が伸びているのは、世の中がそうしたホストクラブの役割を必要としているからだと僕は思います。