ホストの世界を熟知している人だけでなく、これまでホストの「ホ」の字も知らなかった人を見事取り込み、話題を集めている『明日、私は誰かのカノジョ』。こちらの作品の第4章のホスト編である「Knockin’on Heaven’s Door」。
「リアルな人間を描かせたらピカイチ!」と定評のある、をのひなおさんが描き出すホストの面々。
- これからホストを目指す人
- 駆け出しのホスト
- ホストを続けているが売上がいまいちな人
上記に該当する方は、『明日、私は誰かのカノジョ』に登場するホスト達のスタイルやスタンスを勉強することで、飛躍できたり売上アップが見込めるかもしれません。
「これほどリアルに、ホストのディティールを描き切った作品はなかった!」と賞賛される『明日カノ』から、ホストとしての生き方や魅力を伝える方法をぜひ取り入れてくださいね!
『夜王』とは異なる味わいのある『明日カノ』
ホストの漫画としてメジャーな作品といえば、倉科遼さんが原作で、井上紀良さんが作画を務めた『夜王』でしょう。作画担当の井上紀良さんは、宝島社から発売されているROLAND(ローランド)の半生を描いた『ローランド・ゼロ』など、ホスト作品を手掛けることが多いことで有名。
『明日、私は誰かのカノジョ』の作者である、をのひなおさんの性別は女性。『明日カノ』の魅力は、何といっても女性目線でのホスト像でしょう。
「ホストなんて、職業的な色仕掛けで女性を騙すのが仕事なんだから…」とわかっている人でも、気が付けばホストにたくさんお金を注いで応援している…という状態になる摩訶不思議さを繊細なタッチで描いています。
『明日カノ』に出てくるホストをしっかり研究することで、必ずやホスト業務のプラスになるはず。それほど『明日カノ』のキャラクターには、真実味が宿っているのです。
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をのひなおさんはキャバ経験あり!?
文春オンラインのインタビューで、過去を赤裸々に語ったをのひなおさん。過去にキャバクラへ勤めていた経験があるそうで、整形もしたことがあると明かしています。
をのさんの水商売の経験値が『明日カノ』のリアリティに一役買っているのは、読者なら頷ける話なのでは?
作品というのは、今を切り取って描く面があるのも確か。令和のホストクラブにどのような空気が流れているのかを確かめるべく、新宿歌舞伎町にあるNEW GENERATION GROUPのホストクラブ『CRUISE』を編集者とともに訪れ取材したそうです。後述する萌ちゃんが初回ホスト体験時の独白「ど…どうしよう」「全然楽しくないんだけど…」は、をのさんの担当編集者さんが漏らした一言がヒントになったのだとか。
『明日カノ』に出てくるホストクラブの内装がリアルなのも、実際に『CRUISE』を訪れた際に、アルコールの種類なども含めて確認したからでしょう。
「ここまでこだわるの!?」と驚かされる、をのさんのプロフェッショナルなスタンス。だからこそ登場するホストが、実際に息づいているような躍動を見せるにちがいありません。
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モブにしとくにゃもったいない!化石ホスト・乙女七星
モブキャラでありながら人気投票一位にも輝いた経験がある乙女七星(おとめななせ)は、インパクト抜群。
ホストクラブになじめず、まるで楽しめていない萌に、「二度目まして‼」「色恋本営鬼枕‼化石ホスト乙女七星です!」と元気に挨拶。
萌の反応が「え?」「呪文?」というもの(笑)。
このシーンは強烈に、ホストを務める者のポジティブさメンタルの強さを描いています。ホストの業界がよくわかっていない女性に対して「色恋本営鬼枕‼化石ホスト」と、専門的な言葉をつなげて連呼しても伝わるはずがありません。しかし乙女七星は、そんなことを気にしません。
実際にホストは、無視され続けても営業メールを毎日、大量に送るなど前向きさが必須の職種。ちょっとのことで凹んでいては、心身がむしばまれるハードな仕事がホストと心得ておきましょう。
ちなみに
- 色恋→付き合ってはいないのにもかかわらず、まるで恋人のように振る舞う営業方法
- 本営→顧客の姫と実際に交際して、彼女として振る舞う営業方法(大金を使わせやすいので、ここぞというときに仕掛けるホストも)
- 鬼枕→枕営業を度々行う営業方法
という意味になります。乙女七星は、挨拶で3つの業界用語を組み合わせたのですね。
芸能人ニュースで「枕営業が発覚!」といったものがよく流れるため「枕」が「肉体関係を結ぶ行為」というのをご存知の人は多いでしょう。
ちなみに
- 初回枕→初回のお客さんと肉体関係を結ぶこと
- やらず→肉体関係を結ばない、あるいは最後までいかない営業方法
となります。
鬼マメしごでき!「ホストの鏡」の楓
『明日カノ』第4章で、最もたくさん登場したホストといえば楓でしょう。まるでオラオラ感がなく、物腰も穏やか。切れ長の目で、一見頼りなげに映る彼ですが、母性本能をかなり刺激するタイプかもしれません。『明日カノ』を隈なくチェックし続けてきたヘビーユーザーの中には、「楓がホストの仕事から足を洗い、萌とめでたくゴールインするのでは?」と淡い期待を抱いた人もいたのでは?
それほど楓には普通っぽさが、漂っているのです。
ネタバレになりますが、楓は一流のホストでしかありませんでした。萌を疑似恋愛で翻弄し、結果的に風呂に沈めるような行為に加担したと解釈する人もいるでしょう。
楓のどこがホストとして優秀かといえば、萌のように「ホストなんて耳触りの良いことを並べて女性を騙すんでしょ?」と疑ってかかった女性でも、短期間でガチ恋に陥らせた点。次第に「楓を支えたい」と思うようになった萌は、大学を辞めて風俗の仕事に転職。
楓の図抜けているところは客観性です。ホストは他者から選んでもらう職業。自己満足を繰り返していては、売れるはずもありません。売れっ子ホストほど「メタ認知」と称される、もうひとりの自分が自分をセルフチェックしているような状態になること多いのも確か。
楓は「普通っぽさを装った方が自分に合っているし、それが収益につながる」というのを完全に理解しています。メタ認知ができるのは、しごできホストの条件といえるかも?
草食系っぽい印象を与える楓ですが、第4章のラストではグループの№1の写真を目立つように載せて、街中を走り回るアドトラックに楓の写真が掲載されるほどの存在に。アドトラックとは、ホストが売り出したい人間をより有名にするために、走らせる宣伝カーのこと。
アドトラックに楓の顔があるということは、彼がホストとして野心を持ち続け、不断の努力を重ね着実に階段を駆け上がっている証といえるでしょう。
アドトラックの楓は、二重瞼。さらに上を目指すべく、顔にメスを入れ二重にしたのは「この世界で頂点に立つぞ」という覚悟の表れといえるでしょう。
ハルヒのモデル黒瀬心はどS型ホスト!?
NGGのCRUISEに在籍した黒瀬心さんは、ハルヒのモデルといわれています。
ハルヒと萌のやりとりはスリリングなものが多く、お互いが心身をすり減らし続ける、まるで消耗戦のような攻防が描かれました。
黒瀬さんはインタビューで「(歌舞伎町を歩いていると)もしかしてハルヒじゃない!?」と声を掛けられる機会が増えたと述べています。黒瀬さんは「ハルヒというキャラのリアリティを肉付けするお手伝いをした」と答えており、「黒瀬心=ハルヒ」ではないようです。
黒瀬さんもハルヒも、自信に満ち溢れたホストといえそう。自分にも厳しい分、他人もかなり要求するタイプなのでしょう。同じ卓についていて姫が入れたテキーラを飲んだ際に「笑顔になれないのはNG!」と、かなりきつく叱るスタンスの黒瀬さん。「ワンショット3,000円もするお酒を入れてくれた姫の気持ちを考えろ!」と言いたいのかもしれません。
ギラつきが魅力の黒瀬さんやハルヒ。野心を隠さず自分の喜怒哀楽をストレートに出す様に、女性は惹かれるのでしょう。
自己肯定感の低い萌のような女性はホストクラブを来訪しやすい?
をのひなおさんが、文春に受けたインタビューの中で「モブキャラで自己肯定感が低くて、強い自分を演じる萌のキャラづくりは一番大変」と漏らしています。
をのさんの中に萌のような要素が皆無かといえば、そうではないそうなのですが、何が萌の心の琴線に触れるかなどは、担当さんと綿密な打ち合わせをしなければわからなかったとのこと。
一時的にとはいえ、萌がホス狂になったのは、やはりその自己肯定感の低さなのではないでしょうか?最初は自分のルックスや異性からの人気の低さに諦観している様子だったが萌えも、心の奥底には「大好きな人に愛されたい!」という渇望を抱えていたことが判明しました。
全員とはいえないものの、ホストクラブに度々通う女性は自己肯定感が低めの人も少なくないかもしれません。
ゆあてゃのような姫は結構多い!?
前向きでないと成功を手にしづらいホストの世界。彼らに立ちはだかる最大の試練といえるのが、ゆあのような女性に疲弊させられることかもしれません。
ホスト番外編で描かれたように、ゆあが歌舞伎町へやって来るまでの過去は「ひとりで大変だったね…」と声をかけたくなるものでした。
地元である田舎を捨てて歌舞伎町を拠点に暮らすことになったゆあ。彼女の情緒は大変不安定。担当ホストのハルヒを困らせる「試し行動」のような振る舞いを度々したり、ライバルであるハルヒのかぶり客に対して「嫌がらせ?」と思われるような行為をすることも。
※
かぶり→ホストの担当している姫が同時に二名以上来店している状態
「かぶりは伝票でころす」という名言も誕生しました。
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ホストクラブを訪れる女性の多くは、愛情飢餓を抱えていたり承認欲求が暴走しており、度々周囲を困らせるような動きを見せることが少なくありません。
ゆあの生育関係を見てもわかる通り、複雑な境遇で育ったり、親に愛情を注いでもらい愛着を形成すべき時期に、愛をもられなかったりすると、その影響は一生涯続くケースも……。
最初は上機嫌だったり温和に思える女性だったとしても、長い付き合いになるにつれ闇の部分が顔を覗かせるケースが少なくありません。一流のホストは姫のマネージメントも上手。「姫が病むのは担当ホストのせい」という意見も。
元来、一筋縄ではいかない女性が来店するという大前提を持っておいた方がいいでしょう。だからこそ彼女達を本気にさせると、莫大な金額を使ってホストを応援してくれるのです。
『明日カノ』に登場するホストの面々は個性豊か。各々持っている色が違うものの、だからこそ「これからホストとして働くぞ!」と考えている方の参考になるはずです。
ホストとしてのステージをどんどん上げていくために、第4章のホスト編が収められた『明日、私は誰かのカノジョ』を購入してぜひ勉強してみましょう。