『明日、私は誰かのカノジョ』ホスト編がついに完結!
をのひなおさんの人気漫画『明日、私は誰かのカノジョ』のホスト編がついに完結しました。
これまでに当サイトで、何度も取り上げてきたアスカノ。章ごとに主人公が変わり、物語の色合いもガラリと変化するのがこちらの漫画の醍醐味。
「ホスト編、面白すぎる!」という声も多く、一際大きな話題を集めることになりました。
アスカノのホスト編が完結したことに対する、ファンの反応を見ていきましょう!
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モブっぽい性格の萌が主人公のホスト編
みなさんは、漫画やアニメを楽しむ際、どんなキャラと出会いたいですか?
現実離れしたヒーローやヒロイン、華やかでほれぼれとする風貌の登場人物を期待する人も少なくないはず。
アスカノのホスト編の主人公である萌は、一言でいえば本来、モブキャラと称されてもおかしくない女性。
ずんぐりとした体形で社交性がある方でもなく、華や美貌を持ち合わせていません。
同じ大学に通う男性の豪と、肉体関係を結ぶシーンが章の冒頭にあり、男から全くアプローチされない存在ではない萌。
ただし豪は、萌を彼女として大切にしているわけではなく、ヤリモクっぽい感じが漂っています。豪からすると萌は、実に都合の良い女。萌もそれがわからないほど鈍い女性ではありません。
豪に抱かれても、あっさりしている彼女。
萌は決して愚鈍な女性ではないのです。ある程度、物事を客観的に見つめる冷静さと空気を読む能力があり、どこか「私の人生なんてこんなものだし…」と諦めている節も。
一言でいえば、萌は冷静で地に足がついているキャラクターといえるでしょう。
ワンセット大仏からイメチェンに成功する萌
明日カノの面白さは多岐に渡ります。
リアルなキャラクター造形もさることながら、作者のをのひなおさんが生み出すワードセンスも忘れてはいけません。
ゆあに誘われホストクラブデビューを飾った萌の前に現れたホストの七星。
戸惑う萌に対して「二度目まして!!色恋本営鬼枕!!化石ホスト乙女七瀬です!」と、独自の謎ワードで自己紹介するホストはかなりパンチが効いています。
これに対して「呪文!?」と痛烈なツッコミを怪訝な顔で返す萌に、抱腹絶倒を禁じえない人も続出!
ちなみにお金をあまり使わない客を、ホスト業界では「細客」と呼びます。
姫に散財してもらうことで成り立っているホストクラブの世界は、お金を落とさない客は陰で色々言われるもの。
あまりにケチだと「細客」ではなく「繊維客」と称されることも……。
ホストクラブは、ワンセット60分から100分ほどで、3,000円から1万円ほどの幅の料金設定にしているところが主。
お店からすると、セット料金ではなくフリータイムで時間とお金を気にせず、お金を使って欲しいのが本音。
普通の大学生である萌は、贔屓のホストに会いたいという気持ちはあれど、大金を使うことができません。
ホストやホストクラブに関する書き込みが気軽にできるサイト『ホスラブ』は、業界でかなり有名です。
明日カノでは、この『ホスラブ』を再現しており、その中で萌はワンセット大仏というありがたくないあだ名をつけられるハメに。
ワンセットとは、もちろんセット料金で遊ぶ細客を蔑んでの言葉ですが、大仏というのは萌がお団子にしているヘアスタイルを「大仏っぽくてダサい」と嘲笑しているニュアンスが含まれます。
ワンセット大仏と馬鹿にされるほど垢ぬけない萌ですが、楓というイケメンホストにガチ恋してしまい、大学を辞め夜職でお金を稼ぐことを決意。
夜のお仕事は夢を与えるため華やかさが大切です。
接客を重ねるうちに、どんどんフェミニンで男性受けしやすいルックスに変化していく萌。
しかし萌がどうしてもお金を捻出しなければならない事情を理解している読者からすると、切なくてたまらないのです。
過去の自分自身と萌を重ねてエールを送る読者も存在。
それほど明日カノは、読者を夢中にさせる作品なのです!
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女性の承認欲求を巧みに描く明日カノ!楓は毒なき王子?それとも…
明日カノのホスト編で、もうひとりの主役といっても過言ではないのが楓。
草食系っぽく、一見なよっとしてホストっぽくない彼に、心を許し始める萌。
ぱっちりとした目の方が高い人気を誇るホストの世界で、楓は地味な細い目をしています。
風が吹くだけで飛ばされかねない繊細な楓を見ると、女性は母性をくすぐられるのかもしれません。
最初は「ホストなんて商売で女性を喜ばせてるだけしょ?」と、さめていた萌も、楓の丁寧な接客を受け続けることで心変わりを覚えます。
女性に接する機会が多い男性ほど「男性より女性の方が強い承認欲求を持っている」と口にするもの。
萌が楓にハマったのも、女性として自信を与えてくれて、しっかり承認してくれたからに他ならないでしょう。
【※ネタバレあり!要注意!】異なる道を歩む萌と楓
ここからはネタバレになるので、ホスト編を最後まで読み進めていない人は、飛ばしていただきたいのですが、ホスト編の最終話はかなりショッキングなシーンも……。
明日カノ自体が、若者たちの群像劇なのですが、ホスト編のラストは、夜職から離れ地元に戻り新たな道を歩み続ける萌。
引き続き歌舞伎町でホス狂を続けるゆあ。美容整形をして目を大きくし、ホストとして頂点を目指すことを決意する楓など、これからどのように生きるかがしっかり示された終わり方となりました。
明日カノにのめり込んだ女性の観察眼は鋭く、ツイッター上でも「最終話では、楓の目の大きさが変わっている」という指摘がたくさん確認できました。
をのひなおさんが放つ、こういった細かい作り込みや仕掛けに読者は心を鷲掴みにされるのでしょう。
人気ホストになると、アドトラックと呼ばれる宣伝カーにデカデカと顔写真が掲載されるようになります。
アドトラックの写真は、所属するホストクラブが「今、このホストを売ろうとしています!」という証拠といえるでしょう。
歌舞伎町を離れ地元に戻る直前の萌の前に、現れるホストクラブの宣伝カー。
アドトラックには、二重に整形した楓の顔。なんとも切ない再会……。
トップを目指し邁進し続ける楓からすると、萌は過去に担当したひとりの姫でしかありません。
「すでに萌のことなど忘れているかも?」とさえ感じるラスト。
しかし束の間とはいえ、激動の歌舞伎町ライフを経験した萌が、夜職を離れホス狂いを卒業したという展開に胸をなでおろした人も少なからずいたようです。
次章の主人公はあのゆあてゃ
怒涛のホスト編が終わったものの、まだまだ楽しみは続きます。
次章は番外編。主役はあのひと癖もふた癖もある、ゆあ。
「ゆあてゃが主役」と聞くだけで、テンションの上がる人もいそうですね。
歌舞伎町の路肩に座り、ストロングゼロをストローで飲むツワモノぶりを見せたかと思いきや、腕には夥しいリストカットの跡。なんとも謎多きキャラなのです。
なぜ、ゆあが歌舞伎町でこのような人生を歩んでいるのか、非常に気になるところ。
一際、高い人気を誇るゆあが主人公の新章の展開が、今から待ち遠しいですね!
『明日、私は誰かのカノジョ(6) (サイコミ×裏少年サンデーコミックス)の第6巻』も好評発売中!
2021年4月中旬で、すでにAmazonサイトでは200以上のレビューがついており、5点満点で5点をつける人が続出。
いかに明日カノのホスト編が胸熱だったかわかりますね!
みなさん、一緒に明日カノの続きをこれからも楽しみましょう!!
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