手塚マキが『歌舞伎町ブックセンター』を開いた理由
参考記事:https://news.livedoor.com/article/detail/18690979/
こちらの記事では、ホストクラブ経営者の手塚マキさんが2017年に開いた『歌舞伎町ブックセンター』に関する熱い思いについて解説しています。
ホストと全力で向き合う手塚マキさんの気持ちをぜひ確認してみてくださいね!
コロナ禍で露見したホストへの悪いイメージ
2020年は新型コロナウイルスに翻弄された一年といって差し支えないでしょう。全員が何らかたの形でコロナの影響を受けたはず。中でもやり玉にあげられることが多かったのが、ホストクラブ、キャバクラ、風俗業などお水の世界。
夜の街でクラスターが発生していると連日報道されたため、「大変な状況でコロナを広めるなんて言語道断!」と怒りに震えながら、クラスターに関するニュースを耳にした人もいたでしょう。
「ホスト=悪人」という図式は、あまりにも乱暴で飛躍がありすぎます。歌舞伎町でホストクラブやそれ以外の業種の店舗を経営している手塚マキさんは、長年ホストと接してきてどのような印象を受けているのでしょうか?
手塚マキ曰く「良い人間悪い人間は、どの世界にもいる」の真理とは?
手塚マキさんは「一般社会でも良い人、悪い人がいるように、ホストの世界も同じ」といった旨を語りました。ホストは良くも悪くも衝動的。「こうしたい!」と思ったらすぐ行動に移せる反面、「やりたくない!」と感じたことは徹底的に避けようとします。
その衝動性の高さは動物的と表現してもいいくらい。そういった資質がホストの野性的な魅力のため、プラスに働くと、とんでもない成果を出すことも珍しくありません。
手塚マキさんはコロナ自粛中、ホストへ正確な知識を身につけてもらおうと、コロナウイルスに関する動画を見てもらうなど、地道な活動を続けてきました。
手塚さんはホストに対して、常に愛情深い態度で接し続けています。「ホストは負のイメージを世間からもたれやすいため、それを払拭したい」という熱い思いが手塚マキの内面にはあるのです。
ホストも本を読めば、さらに人としての幅が広がる
手塚さんは『スマッパ!グループ』というホストグループの会長を務めるだけでなく、新宿区繁華街新型コロナ対策連絡会のメンバーでもあります。エゴイストが多い歌舞伎町の中で、他者貢献を考えて常に動いてきた人。
彼が2017年に歌舞伎町で初めてとなる書店『歌舞伎町ブックセンター』をオープンさせたのには、ホストに知性をつけ感情の襞(ひだ)を増やしてほしいという思いがありました。
自身もこれまでたくさんの本に触れてきたという手塚さん。読書をすることで感情の幅が広がるようになるという大きなメリットを感じています。
本を読むことで、己の思いが気づけるだけでなく、他者の感情にも敏感になれるというわけです。ホストクラブはホストを応援してくれる女性の存在によって成り立っています。顧客の女性がどんな気持ちでいるのかを、もっとわかるようになればホストとしてもステップアップできるでしょう。
これまで「ホストに読書をすすめる」といったアプローチをする経営者はいなかったため、手塚さんの試作は画期的といえます。
ホストに31文字の世界を推奨する手塚マキ
手塚さんといえば、『ホスト万葉集』の出版でも話題を集めました。ホストに「自力で小説を書いてくれないか?」と言っても実現しづらいもの。しかし5・7・5・7・7の短歌であれば、まだ作りやすいでしょう。
最近はSNSが広まったこともあり、短い文字数で表現することに慣れている人が増えました。Twitterは140文字ですが、短歌はさらに短い文字数で、言い表さなくてはなりません。そこに自分自身の思いを込めて、しかも伝わるように仕上げなければならないのです。女性と深くコミュニケーションをする機会が多いホストだからこそ、詠める歌があるのでしょう。
最終日 LINE開いて 文字打てず 知りすぎた君に もう頼めない
といった顧客の心情を聞いた後の葛藤を巧みに読んだ歌も誕生しました。歌会は定期的に開催されていますので、今後も新たなホストの歌が歌舞伎町から生まれ続けていくでしょう。
ホストが短歌で才能を発揮!?手塚マキが俵万智を招き画期的な試みに挑戦!
参考URL:https://blogos.com/article/480922/
続いて紹介するニュース記事は、上記の記事の『ホスト短歌』をさらに深堀した内容になっています。
『サラダ記念日』『チョコレート革命』の著者である歌人の俵万智さんが、最も縁遠いといえるホストと絡むという刺激的なコラボについても触れています。
ホストは勉強が苦手!しかしバイタリティーにあふれる存在
ホストといえば、アウトローであったり、「元来社会になじめなかったからホストクラブで働くようになった」という人が多いはず。学校の勉強は不得意でも欲望を原動力に、自ら立てた目標に向かって驀進するホストはたくさんいます。
もしかしたら「ホストに知性はない」といった偏見を持っている人がいるかも?
そんなことはありません。学歴と頭の良さは比例しないもの。成功するホストは総じて地頭が良い傾向にあります。
少し前に歌舞伎町で複数の店舗の経営者である手塚マキさんが興味深い試みをして、話題を集めました。歌人である俵万智さんを招き、ホストに短歌を詠ませるという新たなチャレンジをしたのです。
歌人・小佐野彈との縁でホスト短歌が始まった
手塚マキさんといえば、ホストクラブにとどまらず他の飲食店事業を歌舞伎町で展開。彼が手掛ける『スマッパ! グループ』のお店は10店舗を超えています。『歌舞伎町ブックセンター』という書店の経営に携わるなど、様々な業種と縁のある手塚さん。
既成概念に捉われず、どんどん新しいチャレンジを続ける手塚さん。今回、彼は「お店のホストたちに短歌を詠ませよう」と画期的なアイデアを思いつきました。
歌人で小説家の小佐野彈(おさのだん)さんの出版イベントを『歌舞伎町ブックセンター』で開いたのがきっかけで、「ホストに短歌を!」アンビバレントな企画が持ち上がったのです。
短歌は金にならない!でも日頃の心を点検ができる
ホストは「なりあがりたい!」「稼ぎたい!」といったギラギラした気持ちを抱えています。そういった思いがモチベーションにつながり、己を成長させるのは間違いないでしょう。
短歌を詠んだところで、直接ホストという業務への見返りはないですし、お金になるわけでもありません。手塚さんがホストに短歌を詠んでほしいと願ったのは、日頃の心の点検ができるから。
短歌は自身の中にある思いを言葉にします。多忙な日常の中でふと立ち止まり、自分の中にあるモヤモヤを5・7・5・7・7という31文字の中に込めて言語化する作業は、心の整理に効果的といえるでしょう。
令和の石川啄木・武尊(たける)が詠む切ない短歌
石川啄木といえば、「働けど働けどなほ我が暮らし鳴くにならざりじっと手を見る」といった貧困の中で詠んだ句が有名。多くの人に借金をし総勢1,500万円の負債を抱えたまま26歳で夭逝。何かに急かされながら、駆け抜けるような生涯を送ったのは有名です。啄木の歌集『一握の砂』の存在を、教科書で知った人もいるでしょう。
令和の石川啄木といっても過言ではないのが、武尊(たける)さん。彼がどんな短歌を詠んだのか紹介しましょう。
後輩とキャバをふと見て帰路につく売れたらいつか連れて行くから
千円を前借りにして口にするおにぎり一個の我の悔しさ
どうですか?「現代の石川啄木」と称したくなるこの歌の威力。「今はまだホストとして大成していないものの、この状況を変えてやる!」という決意と悔しさが込められています。たった千円すらなく、泣く泣く前借して食べたおにぎりは涙の味がしたかもしれません。
ちなみに石川啄木本人は、かなり破天荒で無頼な人物だったとか。清貧なイメージがあるものの、実は友人、知人からの借金の多くの使い道は女遊び。
石川啄木が現代によみがえると、もしかしたらホストになっていたかもしれませんね。
人間的な成長を遂げるにつれ詠む歌が変化
ホストと聞けば、女性を言葉巧みに依存させて貢がせるダークなイメージを持たれがち。ホストが起こした犯罪のニュースは、たまに報道されるため、世間の人は益々ネガティブな印象を抱かれるのかもしれません。
犯罪に走るのは、人間として成熟しておらず長期的に成功を収められていないホストたち。犯罪に手を染めてしまうホストは、「お金のために自分だけ幸せになればいい」といった利己心を丸出しにした人々と表現しても差し支えないかもしれません。
ホストはチームプレイ。確かに我の強い人間が集まりますが、あまりにもエゴイストすぎると村八分状態となり、誰からも相手にされなくなります。武尊さんのように「いつか後輩をキャバクラに連れていき、奢ってあげたい」といった、同業種との絆を大切にしているホストの方がもちろん重宝されます。
そんな武尊さんが読んだ歌で、「お! おはよう 数字抜かれた後輩に 度肝を抜かれ お、おざまっす」と、後輩に売り上げを抜かれてしまった動揺をユーモラスに詠んだものがあります。手塚さんは武尊さんが詠んだこの歌を目にして「武尊のやつ、ホストとして成長したな」と実感したそうです。
確かに悔しさや切なさのみに覆われた歌というよりは、どこか自分を俯瞰で見ている冷静さも感じられますね。
青山礼満さんというホストは「威張るなよホストが凄い訳じゃない 死ぬ気で稼ぐ女が凄い」という姫(ホストクラブの顧客の呼称)への賞賛と感謝を込め粋な歌を詠んでいます。
売上が好調なホスト万葉集!絶賛発売中
ホストは言葉を操りコミュニケーションをとる職業。言葉には話し言葉である口語と、書き言葉である文語が存在します。ホストは口語に特化したお仕事。歌を詠むことで、これまで培ってこなかった文語能力を伸ばすことができれば鬼に金棒。
一見、ミスマッチに思えるホストと短歌ですが、実はWinWinの関係性にあったようです。『ホスト万葉集 嘘の夢 嘘の関係 嘘の酒 こんな源氏名サヨナライツカ 手塚マキと歌舞伎町ホスト75人from Smappa! Group』は、絶賛発売中。俵万智さんも監修で参加。
タイトルの一部にもなったサヨナライツカを含む短歌の全貌を明かすと「嘘の恋 嘘の関係 嘘の酒 こんな源氏名サヨナライツカ」。命がけで虚業に挑む切なさを赤裸々に読んだ名句といえます。他にも色恋の世界で日々暮らしているホストならではの歌がたくさん収録されています。
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