「明日カノ」作者をのひなおと現役ホスト阿散井恋次の対談が実現!
参考サイト:https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2012/18/news009.html
今や人気漫画アプリ『サイコミ』の屋台骨を支えているといっても過言ではない『明日、私は誰かのカノジョ
』。
2020年大きな話題を集めた『明日カノ』の作者である、をのひなおさんと現役ホストである阿散井恋次さんの対談が実現しました。
どのような会話が繰り広げられたのか、詳しく解説していきましょう。
『アスカノ』は、下記サイト▼のサイコミで読める!
https://cycomi.com/fw/cycomibrowser/chapter/title/118
対談には『明日カノ』には欠かせないあの人も同席!
『明日カノ』の生みの親は、もちろんをのひなおさん。実は『明日カノ』に名物編集者である梅崎さんがいます。をのひなおさんと最強タッグともいえる形で、サポートし続けている梅崎さんも対談に同席しました。
ちなみに、をのひなおと担当さんの出会いはコミティアという自主制作漫画誌展示即売会のイベントで偶然知り合ったのだとか。
お手洗いを探していた、をのひなおさんがスタッフと間違えて声をかけた相手が梅崎さんだったそうです。
もし、をのひなおさんがコミティアに参加した際、尿意に襲われていなかったら『明日カノ』は誕生していなかったかもしれないですね。
『明日カノ』がバズるタイミングはかなり早かった!
『明日カノ』では、章ごとに主人公とテーマが変わります。2019年5月に記念すべき連載が始まったのですが、そこから「この漫画、超リアル面白い!」と話題になるまで時間はかからなかった模様。
1話をツイートされてから、早めのバズりがありました。2020年の師走では、『明日カノ』の新しいストーリーが更新される日にサイコミへ何と25万人の人達がやってくるといいます。
ここまでの大ブレイクは作者だって、予想していなかったかもしれないですね!
『明日カノ』は読者がコメントで参加できるシステム
『サイコミ』にはコメント機能があり、読者が思ったことを書き込めるシステムになっています。『明日カノ』の名物といっても過言ではないのが、コメント欄の盛り上がり。
読者はもはやフィクションであることを忘れて、『明日カノ』の世界の中に入り込んでいる感じすらします。
熱狂的な読者同士は、コメント欄で激しいバトルを繰り広げることも……。
これには、をのひなおさんと梅崎さんも「喧嘩はやめて!」と叫んでいるのだとか。
それほど、『明日カノ』という作品が読者の心に強く訴えかけるものがある証明ともいえそうです。
『Aravan Lilian』の阿散井恋次の遅刻から対談はスタート
『Aravan Lilian』で勤める人気ホストの阿散井恋次は、オタク気質だということで今回お声がかかりました。
しかししかし、時間になっても一向に現れる様子がない恋次さん。彼がようやくやってきたのは集合時間の15分後。
遅刻したことを詫びながらも、いきなり司会的立場で進行を始める切り替えの早さは、さすがホストといった感じでした。
ホス狂いの経験はないところは想像力でカバー
『明日カノ』の第4章のホスト編は、「とにかくリアル」と話題に。「これだけ内部事情に精通している作者って一体、どんな経験をしているの?」というのは、読者に共通する疑問かもしれません。
結論からいえば、をのひなおさんご自身はNGG系列の店舗である歌舞伎町にある『Cruise』へ、撮影に行くなどの取材はしているものの、ホス狂いになった経験はありません。
にもかかわらず恋次さんが担当する姫(ホストクラブのお客女性の呼称)が、のきなみ『明日カノ』を読んでおり、「分かる!」と大きな共感を寄せているのは、すごいといえます。
をのひなおさんおスタンスとして、水商売関連だから特別な人間という捉え方ではなく、「みんな普通の女の子」というイメージで描いているとのこと。
ちなみにホス狂いの経験がないをのひなおさんですが、実際に整形したことがあるとカミングアウト。
『明日カノ』の第3章のテーマは整形。こちらもホスト編に負けず劣らず生々しいリアルな内容でしたが、整形に関してはこれまでの経験に基づいて描いているところがあるとのことでした。
担当が語る『明日カノ』取材の重要点はリアルかリアルじゃないか?
をのひなおさんと梅崎さんは、取材をする際にある共通する着眼点を持っています。それは「リアルか?リアルじゃないか?」ということ。
例えば、4章の萌が初めてゆあてゃに誘われてホストクラブへ赴くシーンは特に象徴的。ホストクラブといえば、派手で明るく楽しい印象があるかもしれません。
しかし初めて来店した萌は「楽しくない……」と感じてしまったのです。
これは実際に、をのひなおさんがホストクラブ取材をした際に、楽しくなさそうと感じたから忠実に描写したのでしょう。
そこからさらに考えを深めていき、「初回来店で楽しくないと感じた普通の女性が、どうすればその後、ホストクラブにハマっていくのか?」を突き詰めたそうです。
その後、萌が楓という物腰の柔らかいホスト相手にどハマリしていくのは読者のみなさんもご存じのとおり。
徹底したリアリティーの追求が、『明日カノ』という作品の厚みを増すのにつながったのは間違いありません。
「あまり知らない人に話は聞かないようにしている」という、をのひなおさん。真実味のある情報のみにフォーカスする方が、作品のリアリティーもより増していくのは確かでしょう。
対談中に恋次が放ったセリフが『明日カノ』で採用された!?
ホスト業界では、その世界でしか通じない言葉がたくさんあります。「痛マイク」と聞いてすぐ理解できたあなたは、相当なホスト通。
ホストクラブでは一定額のシャンパンを注文すると、ホストが力を合わせてシャンパンコールをし、お店を盛り上げます。
シャンパンを注文した女性は最後にマイクで「一言お願いします!」と求められるのですが、そこで痛い発言をしてしまう女性がよくいるのだとか。
痛マイクとは、マイクを渡された女性の痛い発言を指します。
実際に「靴下裏返しにするのやめてください」と、マイクで言われたことがある恋次さん。実はこれ、ホストと同棲していることをにおわせる発言なのです。
ホストには、たくさんの担当女性がいます。女性からすると、「私だけを見てほしい!」というのが本音。ジェラシーが高まりすぎて、バランスを保てなくなった女性は、よく痛マイクで、担当が被っている女性を牽制したり仲を引き裂こうとします。
これには恋次さんも黙っておられず、痛マイクをしてしまった女性を後で叱ったそうです。
「靴下裏返しにするのやめてください」というセリフに対して、をのひなおさんと梅崎さんは「リアルでいい!」と感じたようで、こちらのセリフは漫画の中で実際に使われていました。
腕のリスカ跡を隠さないホス狂いキャラのゆあてゃが、無感情な顔で「はるぴ~は靴下裏返しのまま脱がないでくださ~い」と作品内で発言。
そのあとホストたちは「よいしょ」と盛り上がるのですが、痛マイクをした当人のゆあてゃは、虚無的な瞳をしているのが不気味でありながらも印象的。
どんな瞬間でも「リアルか?リアルじゃないか?」に徹底フォーカスする、をのひなおさんと梅崎さんのアンテナの鋭敏さは流石としかいいようがありません。
現役ホスト目線で見れば、はるぴはホストとして二流!?
ホストと姫の関係は、「搾取」「よく揉める」「たまに犯罪事件にまで発展する」など、ネガティブなイメージのものがたくさんあります。
それが全ての関係性かといえば否。そういった関係に陥るホストと姫がいるのは事実であるものの、恋次さんにいわせると問題が起こる責任はホスト側にあるとのこと。
「担当は姫の鏡、姫は担当の鏡」という名言を口にする恋次。姫と言い争うなど、こじれた関係を築いてしまうホストは二流だと切り捨てます。
姫の精神は不安定になることも少なくなく、嫉妬の炎をメラメラさせることも珍しくありません。
だからといって意図的に争いを作り出そうとしたり、執着心を煽って売り上げを出そうとするホストに恋次さんは厳しい言葉を投げかけます。
上記の言葉を頭に入れて『明日カノ』を見ると、はるぴはゆあてゃの嫉妬心を煽るなど、二流ホストといえる行動を盛んにとっています。
をのひでおさんは、「確かに(はるぴを)一流のイメージでは描いてない」と深く納得していました。
キャラ設定と、現実にあるホスト業界の価値観がしっかりと重なっているところは、をのひでおさんのこだわりが表れていると見てとれますね。
作品の根底を貫くテーマはルッキズム
ルッキズムとは、端的にいえば外見至上主義のこと。
外見が優れていない男性でも、美女と交際したり結婚することはできるももの、その反対になるとかなり少数になります。
まさにこういった文化や価値観がルッキズムといえるでしょう。
1章の主人公である雪は、レンタル彼女をしており、ぱっと見た感じは整った顔立ちをしています。実は雪の顔に目立つアザがあり、それが彼女にとってコンプレックスになっています。
ルッキズムに関する質問を投げられた、をのひなおさんは「個人的に(ルッキズムへフォーカスしたのは)『3章のあやみ』のみ」と答えました。
をのひなおさんも、かつては引きこもっていた過去があり、その頃は今よりも16kg太っていたと語っています。
やはり痩せる前と痩せた後では、周囲の反応が違うことを如実に実感したのだとか。
痩せることに成功した、をのひなおさんはその後、キャバクラで働くようになるのですが、キャバクラ業務でも容姿に関することに言及されました。それから整形をするわけですから、やはり彼女自身も美醜を人一倍気にして生きてきたのは確かでしょう。
『明日カノ』を連載してから俯瞰で自分を見れるようになった、をのひなおさん。ルフォーという「名称の顔の骨を切り縦方面に短くする整形手術」にチャレンジしようと考えていたものの、「容姿(の追求)以外にも楽しいことがある」と気づきました。
ホストは漫画編集の適性がある職業!?
漫画家で激務で、若くして命を落とす人も少なくありません。をのひなおさんの心身のコンディションが気になるところですが、連載中も土日はしっかり休めているとのこと。
をのひなおさんのスケジュール管理は、担当の梅崎さんが任されています。恋次さんは、をのひなおさんを姫に見立て、梅崎さんに「ホストと同じようなスケジュール管理をしておられて素晴らしい!」と称賛。
ホストは姫が売掛(お店へのツケ)を払えなくなって、飛ばないようしっかりと心理的ケアも含めて寄り添うことが求められます。
梅崎さんは「ホストって、コミュ力が高くてメンタルフォローもできるから漫画編集の適性がある」とテンションアップ。
その勢いで「恋次さん、漫画編集者やりません?」とお誘いしました。「ぜひ真剣に考えてください!」と語気が強くなる梅崎さんに「分かりました」と、やや押され気味に返事をした恋次さんでした。
もしかしたら近いうちに、前代未聞の元ホスト漫画編集者が誕生するかもしれないですね!
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